読みを言葉に

図書館へ通い続ける語彙力無子の日記

トイレのポツポツは裏切らなかった


「トイレのポツポツ」
著者:原宏一

トイレのポツポツ

トイレのポツポツ

 

 私は2パターン好きな本がある。
①最後がハッピーな締めくくり
②本の表紙がフラグ回収してくれる

先日紹介していた「春を嫌いになった理由」

asumodokusyo.hatenablog.jp

 は完全に②でした。


~あらすじ~
派遣社員の白石は、ある日、同じ職場の営業部長である田布勢から一通のメールを配信するように命じられる。内容は「用を足す際は性器を持って一歩前へ」という内容。当然、セクハラだとして問題視される。
このメールによって、社内はあらぬ方向へ動き出す。


何というか、最初は凄く胸が苦しかった。
短編小説ではないのだが、1章ずつでお話しがまとまっていて、主人公は毎回別の人。
舞台が鴨之木製麺所という会社で、その中の広告部や経理、事務や営業など、組織ならではのドロドロとした闇も見えた。
途中「この話は誰も救われないのではないだろうか」という不安で読むのが嫌になりそうだった。

特に、田布勢部長は一生懸命だけど言葉足らずで、不器用なばかりにセクハラの槍玉にあげられ、そして引きずりおろされて会社を辞めてしまう。白石はそんな不器用さに気が付いていたのに、自分に対するセクハラと称されて辞職をさせてしまった事に罪悪感を感じる日々を送る事になる。

最後が報われていて本当によかった・・・よかった・・・・!!(泣


この本の主人公は白石だけれども、陰の主人公は田布勢さんだと思う!!
本のタイトルもそうだし、複線回収してくれるのも田布勢さんだもの。

スッキリと読める1冊でした。

 

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